光陽園開設10周年 感謝のことば
当園は平成26年4月1日開設と同時に最初の入所者を迎えました。2才のかわいい男の子でした。その子も春には中学生になります。入所時まったくしゃべれませんでしたが、今では声変わりした太い声でスタッフの名前をさんづけで呼ぶようになりました。10年という月日の重みを感じさせられます。
今回作成した10周年記念誌の中に座談会のページがあります。これを作成するにあたりインタビューを受け、この10年間の苦労話を聞かせてほしいと言われました。苦労と言えば、看護師不足から満床にできないまま一時的に赤字経営となったことや昨年夏のコロナのクラスターさわぎが頭に浮かびましたが、私自身はそのような時も苦労していると感じたことはありませんでした。
インタビュアーとしては、「苦労に苦労を重ねてこのような素敵な施設ができました」という王道パターンを考えていたのでしょうが、その期待には応えられませんでした。
ではなぜ、苦労を感じず楽しく10年間を過ごせたのでしょうか。
それは、第一に光陽園に入所されているかたがたが人間的魅力にあふれていることです。お世辞を言う人たちではありませんが、うれしい時、満足した時にふと見せてくれる笑顔にどれだけ癒されたことでしょう。そのつどとても得した気分になるのです。
第二にやさしく優秀なスタッフに恵まれていることです。開設当初私が以前勤めていた松戸市立病院や松戸市こども発達センター時代に出会った優秀な人材を引き抜いて重要なポストに配置しましたが、その人たちがまさに期待通りの活躍をしてくださいました。その後も素晴らしいスタッフが次々と仲間に加わってくださいました。どの一人が欠けても今の光陽園はなかったと思います。
第三に入所者のご家族や協力関係機関のみなさまのあたたかい応援があることです。施設としてピンチの場面でも激励のお言葉や品物をいただき、スタッフのモチベーションを上げてくださっています。とてもありがたいことです。
以上の理由できょうまで楽しく働かせていただきましたが、この思いは私だけでなく、光陽園のスタッフ一同共通したものだと思います。
光陽園は病院でもあり、入所施設でもありますが、病気と闘う場ではなく生活を楽しんでいただく場です。病気で入院しているのであれば、痛い処置や苦しい治療、まずい食事も病気が治るまでの我慢ということになりますが、ここでは入所者の方々に我慢をしいることはいたしません。住む人も、働く人も、訪れる人も笑顔になれる、それが光陽園なのです。
コロナ禍にあってなかなか外に出られない入所者のみなさんに、少しでも明るく開放感を味わってもらうため昨年から様々な取り組みをおこなってきました。プロのイラストレーターちゃずさんによる壁画、日中活動「ほほえみ」の横のウッドデッキ、裏にあるガーデンテラス「こもれび」などです。
光陽園はまだまだ10才という若い施設です。これから思春期を迎え、おとなの階段を登っていくことになります。どのようなおとなになっていくのか、引き続き温かい目で見守っていただきたいと思います。これからもどうぞよろしくお願いいたします。
令和5年10月
東葛医療福祉センター光陽園
昭和53年3月 | 千葉大学医学部卒業 |
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昭和53年4月 | 千葉大学医学部小児科学教室入局 |
昭和58年4月 | 松戸市立病院小児科 |
平成13年4月 | 松戸市立健康福祉会館 館長就任 松戸市こども発達センター センター長兼務 |